中国映画の思い出 謝晋さん

中国の謝晋監督が亡くなった。日本でも多くの作品が紹介された巨匠だった。10月28日、享年85歳。海外の映画祭や日本でインタビューをお願いしたが、お会いするととても話しやすい巨匠だった。 その後、中国映画のことをずっと考えていた。それも中国映…

東京フィルメックス映画祭

東京フィルメックス映画祭が終了しました。オープニングはブラジル映画「リーニャ・ヂ・パッシ」。これは「日本でも公開されたチェ・ゲバラの青春時代を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」のウォルター・サイレス監督と女性監督ダニエラ・トマスさん…

アレクサンドル・ソクーロフ

ソクーロフの素敵な映画を見た。「チェチェンへ アレクサンドラの旅」である。チェチェンに派遣され、ロシア軍の駐屯地で勤務する孫を訪ねる祖母のまなざしで見た、チェチェン訪問の顛末、戦場の実情といったらいいだろうか。祖母は兵士と同じテントに泊まり…

篠田正浩「自作を語る」

城西国際大学メディア学部では、客員教授の篠田正浩監督のアーカイヴを作ろうと篠田正浩監督の「自作を語る」という授業を行っています。昨年は「はなれ瞽女おりん」、「写楽」、「スパイ・ゾルゲ」を取り上げ、武満徹の映画音楽、映画と芸能、映画と政治の…

最近の授業から

「映像文化とジェンダー」という授業で、女性映画監督の作品を取り上げています。 これまで蜷川美花監督の「さくらん」、インドのミラ・ナイール監督「サラーム・ボンベイ」、トルコのハンダン・イペクチ監督「少女ヘジャル」、韓国のイ・ジョンヒャン監督「…

川喜多かしこ生誕百年

メディア学部のニュースに紹介しておいたように幕張で開かれた「アジア海洋映画祭」に顔を出してきました。また、10月18日からは東京国際映画祭が六本木ヒルズで始まります。 今年のプログラムはすでに発表されましたが、私が最も興味を持っているのは、…

後期の授業に向けて2

邦画について見てみましょう。 圧巻だったのは新藤兼人監督の「石内尋常高等学校 花は散れども」。今年95歳の監督の自伝的な作品。ユーモアに溢れ、行き着くところまで到達した人間観察の妙。 北野武監督の「アキレスと亀」は、これまでの北野作品で一番、…

後期の授業に向けて

頚椎椎間板症などという難病?にかかって、日記を書く余裕がなかったのですが、8月の暑さ到来と共に、嘘のように腕の痛みがなくなって、8月は試写通いをしてました。お気に入りの作品を書いておきます。まず、ベルリン・フィル創立125周年記念上映とい…

現場で映画を学ぶこと

毎年、文化庁支援「映像スタッフ育成事業」に参加しています。一ヶ月から二ヶ月のインターンシップになりますが、これまで参加者は一人も落伍者がないのが、自慢です。仕事が大変なことは毎年、上級生から下級生に伝わっているようで、それなりの覚悟で現場…

新学期 映画史の授業

新学期が始まりました。その前にフレッシュマンセミナーがあって、メディア学部は幕張で写真撮影しました。その時、後岡先生から「路地をのぞくと面白いよ」という話がありましたが、その時、映画に必ず路地を写していた成瀬巳喜男監督のことを思い出しまし…

フランス映画祭2008

フランス映画祭2008をのぞいてきました。久しぶりに日仏学院に出かけてカラフルなお手洗いなど、フランス色を味わって来たのですが、フランス映画で育ってきたような世代から見ると、最近のフランス映画は、もの足らないような気がします。 セドリック・…

第80回アカデミー賞授賞式

この時期は、国内のさまざまな映画賞、それにアカデミー賞もあってこの時期は見逃した映画を追いかけ、ものすごく忙しいのですが、今年はアカデミー賞は試写会にも行けず、体調を崩したこともあって(胃の調子が良くないんです。やはりお年のせいでしょうか…

2007年の映画ベスト・ワン

山形ドキュメンタリー映画祭の後は、東京国際映画祭、東京フィルメックス映画祭と、映画祭づいていました。いろいろ見たのですが、今は中国映画が気になっています。(北京電影学院とうちの大学が提携したわけでもないでしょうが) 12月になると、今年の映…

山形ドキュメンタリー映画祭

山形国際ドキュメンタリー映画祭に行って来ました。私も国内外の映画祭はずいぶん行ってますが、ここは規模といい、雰囲気といい、純粋に映画に向き合える稀有な場所でしょう。昔、大島渚は「映画の共和国」という言い方をしてましたが、まだそうした雰囲気…

京橋のフィルム・センター見学会

9月15日、映画プロジェクトの学生たちと、京橋のフィルム・センターに出かけました。私の学生時代は、ビデオもDVDもなく、映画の勉強はひたすらここで上映されるフランス映画特集や、イギリス映画特集、あるいはジョン・フォード特集など、ここが映画学徒…

女性監督の魅力

猛暑の中、時間を見つけては試写通いしています。映画を見る前は、頭の中を白紙にしておきたいので、情報は見ないようにしていますが、見終わった後、「うまいな」と感じる作品は女性監督の場合が多いですね。 たとえばデンマークのスサンネ・ビア監督。この…

篠田正浩講演会

東京紀尾井町キャンパスで開かれた城西国際大学メディア学部映像講座「篠田正浩講演会 日本の映画音楽を語る 早坂文雄から武満徹へ」(7月14日)が、ホール一杯の観客を集めて終了した。 戦後の日本映画音楽を代表する巨匠の歩みを数々の映画史的事件に触…

2006年のベストテン

キネマ旬報の2006年ベストテンが発表された。こちらは投票していないので、気楽に選者と選ばれた作品表を眺めているが、これが結構、楽しい。選者の評価する監督としては、圧倒的にクリント・イーストウッドだ。外国映画ベストワンが「父親たちの星条旗…

私の授業2

私の授業「映像文化とジェンダー」では、女性監督の仕事を紹介しています。 現在、その動きがとても注目されているジュリー・ティモア。彼女はオペラからミュージカル、映画まで手がけるオールマイティの演出家で、まさに女性の時代を代表する演出家ですが、…

イングマール・ベルイマン

私の授業では、イングマール・ベルイマンにようやく焦点を当てることが出来るようになりました。これまでですと知って欲しい監督を、何はともあれ理解させる?という豪腕でやってきましたが、最近の学生は知的スノッブというか、わからなくても背伸びをして…

私の授業1

私の授業を受講する学生は、大きく分けると二つに分かれます。 映画監督や脚本家などの映像クリエイター志望の学生、製作プロダクションで映像スタッフを希望する学生、配給会社に就職したい学生など、映画や映像関連の業界で働くことを強く志望する学生。も…

プラダを着た悪魔

話題の映画「プラダを着た悪魔」を見てきました。 メリル・ストリープは、女性映画評論家の間では、どうも嫌われるタイプのようです。競争社会を生き抜く辣腕のファッション界の編集長という役割に、ついついメリルストリープの女優としての人生を重ね合わせ…

初めてのブログです。

11月30日、初めてブログを書きました。肩書きに映画評論家を使いましたが、大学の教員となってからは、映画評論を書く時間があまりありません。この日記では、メモ代わりに見た映画のことや、ゼミでやっていることを綴ろうと思います。どうぞ、よろしく…