フランス映画祭2008

フランス映画祭2008をのぞいてきました。久しぶりに日仏学院に出かけてカラフルなお手洗いなど、フランス色を味わって来たのですが、フランス映画で育ってきたような世代から見ると、最近のフランス映画は、もの足らないような気がします。


セドリック・クラビッシュという監督を知っていますか?最近は「スパニッシュ・アポートメント」、「ロシアン・ドールズ」など青春群像劇が日本でも公開されてよく、知られていますが、初期の頃は生活感あふれる家族の物語を描いてました。何だか成瀬巳喜男監督みたい、と思ったことがあります。
 
今回はパリを舞台に、病におかされた若者の視点で、パリのけして豊かでない人々の生活をしみじみ描いた「パリ」に魅かれました。ジュリエット・ピノシュら芸達者が、フリーターやNGOでさまざまな問題を抱えながら、毎日を精一杯いきているような庶民を演じています。
 
 どんな時代でも、生活感のある映画は納得できます。特に貧乏から生まれた生活感は豊かな映画を生み出す(もちろん、うまい監督でなければ駄目ですけど) 


最近、そんなことを感じたのは、「チーム・バチスタの栄光」でした。最先端心臓医療の現場で起きた患者の死亡事故を推理するものですが、この医療現場が、ピカピカな病院ではなく、あの竹内結子に汚れたサンダルをはかせ、しかも今、超売れっ子の彼女に、患者の相談係という生活感あふれる窓際族の医師を演じさせていた。こういうセンスを若い監督はもっと学んでもいいのではないでしょうか。