私の授業1

私の授業を受講する学生は、大きく分けると二つに分かれます。         映画監督や脚本家などの映像クリエイター志望の学生、製作プロダクションで映像スタッフを希望する学生、配給会社に就職したい学生など、映画や映像関連の業界で働くことを強く志望する学生。もう一つは一般会社に就職を希望するけれども、映画が大好きで、もっと映画文化を深く理解していきたいというグループです。こうした学生は一般会社に就職して、広報や宣伝を志望する学生が多いようです。
 映画を学ぶために「映画史」を私は最も重要視してますが、もう一つ、映画の持つ現代性、いわばジャーナリズムとしての性格も重要視しています。前期の授業で行っている「作品研究Ⅱ」は、「地雷を踏んでさようなら」、「メゾン・ド・ヒミコ」、「パッチギ」などを取り上げました。五十嵐匠監督の「地雷を踏んでさようなら」は、カンボジアで亡くなった戦場カメラマン、一ノ瀬泰造を追ったものです。いわゆる戦争映画スタイル特有の大型場面の戦争映画ではなく、手持ちカメラでブラブラ画面が揺れる場面に新鮮さを感じたようですが、一ノ瀬泰造という若者の生き方や、カンボジアやヴェトナムなどアジアへの関心を持ってくれたようです。
 毎回、映画や授業の感想を書いてもらいます。(大体10分くらい。長い人は、休み時間も入れて20分くらい)結構な分量を書いてくる学生や、こちらが思いも付かなかった視点で書いてくる学生がいて、私自身が刺激されることが多いのですが、これらを導入口として、現代という時代を読み取ろうとする授業です。
 以前よりも映画から時代の空気感を感じ取る人は少なくなりましたが、優れた映画には、必ず時代を読む先見性があります。現代史など学生には、ピンと来ない映画もあるようですが、限られた時間内で書く能力も身に付けてもらおうという、こちらの魂胆もありますが、時代を読み取る、空気感を読み取る学生たちの感性に毎回、新鮮さを感じています。