後期の授業に向けて2

 邦画について見てみましょう。

 
 圧巻だったのは新藤兼人監督の「石内尋常高等学校 花は散れども」。今年95歳の監督の自伝的な作品。ユーモアに溢れ、行き着くところまで到達した人間観察の妙。

 
 北野武監督の「アキレスと亀」は、これまでの北野作品で一番、いい作品ではないでしょうか。これも行き着くところまで行ってしまった、おかしな画家の物語です。でも、私には新藤作品の持つおおらかさという境地から見れば、北野作品は、まだまだ、そこまで到達していないという印象を持ってます。


 滝田洋二郎監督の「おくりびと」は、納棺師という死出の旅路のお手伝いをする人と死者をめぐる家族とのかかわりの中で、現在の社会模様が、つつましく描かれた作品といっていいでしょう。庄内平野をバックにしているためか、生活感に溢れたウエルメイドな作品ではありますが、もっと才気あふれる作品にしても良かったのではないかと思います。


 若手作品では滝本智行の監督の「イキガミ」。国家繁栄の名の下に、政府が発行する死亡予告証を受け取った若者は、24時間後に死亡するというお話。赤紙を受け取った若者たちをダブらせましたが、現代の若者は、この映画をどのように見るのか、気になります。

 
 アメリカ映画では、ドキュメンタリーですが「ブロードウェイ・ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」が、大変、迫力がありました。授業でアッテンボロー監督の「コーラス・ライン」をやりましたが、こちらは本物のダンサーたちの熱き戦いです。夏痩せでゲンナリしている人には、うってつけのドキュメンタリーではないでしょうか。